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○ 研究開発費の推移 etc ☆2 [科学技術等全般]

○ 研究開発費の推移 etc ☆1
https://hajimechan01.blog.ss-blog.jp/2021-06-19

・・の続きです。

国立大学等の科学研究費は、文部科学省・研究振興局にて
その予算配分が決められます。


kyusyu-uni.jpg


支給基準は、独創的・先駆的な学術研究分野とされます。

多くは、自然科学分野(特に医学生理学)ですが、社会科学等も
それなりの数となります。

新規募集件数は、10万件におよぶ膨大なものです。内3割弱が
新規採択研究に選ばれます。

最近は、女性研究者の事案が多く採択されています。約 22%
また、40歳未満の若手研究者の採択件数は、約 36%

○ 科学研究費助成事業の配分について(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/1422129_00001.htm


科学研究費助成事業の配分(令和2年度)

1・東京大学  ( 22,549 百万円)
2・京都大学  ( 13,931 百万円)
3・大阪大学  ( 10,463 百万円)
4・東北大学  ( 9,747 百万円)
5・名古屋大学 ( 8,029 百万円)
6・九州大学  ( 7,058 百万円)
7・北海道大学 ( 6,099 百万円)
__________________________________

8・理化学研究所( 4,849 百万円)
9・東京工業大学( 4,459 百万円)
10・筑波大学  ( 4,165 百万円)

1-10 累計    ( 91,349 百万円)


旧・七帝国大学が、予算序列 TOP7を独占しています。

1位、東京大学の寡占率(1/1-10)は、24.6% 
比較的公平に? 分配されている様相です。

しかしながら、旧帝大+旧官立と、地方国立大の格差は、
依然大きい状態が継続しています。


例えば、九州北部において・・

九州大学  ( 7,058 百万円、1943 件)
-
熊本大学  ( 1,720 百万円、687 件)
長崎大学  ( 1,416 百万円、632 件)
-
九州工業大学( 531 百万円、197 件)
佐賀大学  (  467 百万円、262 件)
大分大学  (  432 百万円、267 件)


大学の規模以上に、予算総額と採択数の格差が大きい状態です。
いわゆる、「 駅弁大学の危機 」 です。

地方国立大は、最低必要な研究費もカツカツの状態で
信じられない程古い機材を、無理やり活用している所も多いです。

大学図書館も、新規書籍資料等が大いに不足しています。


また、1研究当たりの予算額も3倍以上の格差となっており
旧帝大等のビックプロジェクトに予算が注ぎ込まれている様子が
判明します。

予算配分における 「 選択と集中 」が、より多様性を持つべき
イノべーションの発現を、大きく阻害している感じです。

また、地味な基礎研究に対する予算配分も削られつつあり、
かなり危機的状況です。

その他にも

・ポスドク待遇改善。
・日本人研究者保護。
・企業合同研究改善。
etc

・・いろいろと問題が山積みの様相です。


続く・・ (`・ω・´)

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○ 研究開発費の推移 etc ☆1 [科学技術等全般]

● 科学技術立国の衰退、1980~ ☆1
https://hajimechan01.blog.ss-blog.jp/2021-06-05

・・の続きです。

昭和時代(1970-1980年代)日本は、科学技術立国と呼ばれていました。

科学技術の衰退は、当然に経済・GDPの低下となります。
1995 → 2020 世界シェアの予測値は1/3程度。激減です。

国民の平均的な科学技術リテラシー(基礎的素養)も低下しました。


kenkyu-kaihatu.gif


科学技術を支える要因は・・

理工系教育の充実(高校・大学)

理工系研究の充実(大学院)~研究開発費 etc

理工系企業内研究の充実 ~研究開発費 etc

が必要です。
即ち、研究開発費の多寡が、競争力に大きく影響します。

なお、大学等と企業を比較すると、企業の研究開発費は
大学等比7~8倍となっています。


日本の研究開発費(企業+大学 etc)は、約 20兆円弱

世界第3位は、一応キープしていますが・・
2000年基準の伸び率(実質額)、約 1.3 倍
米国1.5、英国1.4、そして中国 10.8

欧米諸国との差は、僅かに開いた程度ですが、
中国との比較では、歴然とした差となっています。

2021年現在は、中国が、世界最大の研究開発費を計上して
いると思われます。

(参考) ○ 科学技術・学術政策研究所
https://www.nistep.go.jp/sti_indicator/2020/RM295_00.html
https://www.nistep.go.jp/sti_indicator/2020/RM295_11.html


日本の研究開発費(企業)の対GDPは、意外にも欧米諸国、
中国を上回っていますが、その研究がGDPに直結していない
とも分析されます。

なお、日本企業の研究開発費は、トヨタ自動車が不動の1TOP
年間1兆円超と、世界的に見ても破格の金額となっています。

その他、キヤノン、日立、大手製薬 etc が
第2グループを形成しています。

(備考) 日刊工業新聞
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00567679


大学の研究開発費の伸び率は、欧米・中国に大きく差をつけられ
つつあります。

特定の大学等への、研究開発費の集中も目につくようになりました。
反面、地方国立大等の予算は、年々減少している傾向です。

即ち、理系教育・研究の危機です。


続く・・ (`・ω・´)

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● 科学技術立国の衰退、1980~ ☆1 [科学技術等全般]

昭和時代(1970-1980年代)日本は、科学技術立国と呼ばれていました。

科学技術の衰退は、当然に経済・GDPの低下となります。
1995 → 2020 世界シェアの予測値は1/3程度。激減です。※1

GDPの低下率は、世界ワースト・NO1 ★ です。

国民の平均的な科学技術リテラシー(基礎的素養)も低下しました。


koukou-buturi.jpg


グラフは、高校物理の履修率推移です。

1980年代~、ゆとり教育の導入で、履修率は激減です。※2

1970年代迄、9割程度の高校物理の履修率が、
最近では、1~2割程度に激減しています。
数学Ⅲ、数学C の履修率も減っています。

モノつくり ≒ 科学技術は、高度な数学・物理等の知識が不可欠です。

高校レベルの数学・物理は、基礎の基礎レベルであり、このレベル
すら知らないと、本当に何も出来ないでしょう。


1980年代迄、日本国民の科学的リテラシーの維持に貢献していたのは、
その源である「 物理的思考 」です。

2020年の学生や若い社会人の8~9割は、その思考が出来ない
事を示しています。

物理的思考の低下 ≒ イノベーションの停滞 ≒ 経済の低下。
観光立国・日本。その惨状が、それを示しています。


__________________________________________________________


■ 科学技術白書(文部科学省)2019-R1 版
https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa201901/detail/1417228.htm


文部科学省は毎年、科学技術白書を作成していますが・・
令和元年度は、日本の科学技術の低下に関し、かなり詳しい情報が掲載
されています。

第1の問題点は、研究論文等の減少。

平成初期は、世界ナンバー2の地位を誇っていた研究論文(自然科学)
ですが、近年では、10位以内も怪しいレベルに落ち込みました。


ronbun01.jpg


原因は明白です。国立大学(院)予算の大幅な減少。平成初期から比較して
約 30%減少。これに連動する形で、理工学の博士課程進学者の減少 etc

令和2年12月、※3
文部科学大臣より、博士課程学生への研究補助(生活費含む)支給に関する
公示がなされていますが、その後の進捗は不明です。


第2の問題点は、理工系企業(メーカー)の受入体制。

学士、修士(前期博士課程)が中心で、後期博士課程レベルの研究を
大学院で履行出来ない状況が、相変わらず続いています。


第3の問題点は、そもそもの理工系人材の不足。
即ち、文系天国の現状です。

高校で、物理学等を選択しないという事は・・

モノを創れない国 ≒ 観光立国 ※4 への方向転換、と成ります。
それを推進する日本政府、容認する大多数の日本国民。

モノ創り(クリエイター・作家)の情熱を失い、
観光立国、中抜き立国化が益々進行しています。


令和の今、外国製ハイテク製品(ハード+ソフト)が世界中に溢れ、
メードイン・ジャパンの存在感が益々薄れています。

素材、装置、一部の電子部品(画像センサー)等は、未だ世界の
トップクラスですが、その他の分野のシェア低下が進行しています。


(備考)

※1 内閣府、専門調査会情報等
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/future/sentaku/s3_2_15.html

※2 jstage 高校における物理履修状況の変遷
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pesj/38/4/38_KJ00005896047/_pdf

※3
博士を目指す学生の皆さんへ(文部科学大臣メッセージ)
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_00418.html

※4
観光立国推進基本法(観光庁)
https://www.mlit.go.jp/kankocho/kankorikkoku/kihonhou.html

> 観光を21世紀における日本の重要な政策の柱として明確に位置付けています。



続く・・ (`・ω・´)

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