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○ ATM・博物史 ☆2(中村氏~木邉氏+) [天文宇宙・望遠鏡カメラ全般]

○ ATM・博物史 ☆1( 山崎氏 ~中村氏+)
https://hajimechan01.blog.ss-blog.jp/2022-05-01

・・の続きです。

ATM (Amateur Telescope Making)
~アマチュア天文家による、望遠鏡の自作

日本国内においては、大正後期頃から始まり、
1930年(昭和5年)前後には、京都を中心に
大きなムーブメントになっていた様子です。


atm-2.2.jpg


中心となったのは、京都大学・花山天文台
中村要氏でした。

反射望遠鏡
屈折望遠鏡
写真レンズ

3つ全てにおいて、当時の世界最高レベルの作品を創りました。

中村要氏は、 1930年前後、五藤光学、西村製作所の
反射ミラー、屈折レンズ等の製造にも携わっています。


天体観測全般においても、1926 年(大正15年)には

・趣味の天体観測

○ 国会図書館・デジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1016786

を刊行、いわば、天文学のハード&ソフト、双方の普及に
貢献しました。


・反射屈折天体望遠鏡作り方
・天体写真術

2冊の刊行は、当時のアマチュア天文家に
多大な影響を与えました。


天文学会においても、多数の論文等を発表

東亜天文学会(天界)
1922~1932年、約10年に渡り
望遠鏡光学、天体観測 etc 数多くの文献を掲載しています。

日本天文学会(天文月報)
1931年(11-12月号)
天体写真用・対物レンズ、に関する文献を掲載しています。

その後、1932年末、28歳の若さで天逝されました。



IMGP4141s.jpg


中村要氏の弟子とされるのが、木邉成麿(宣慈)氏

中村氏の遺作の研究を始めつつ

1936年、最初の書籍、天体望遠鏡の作り方を刊行
1938年、シュミット光学系の研究論文を発表

戦前において、極めて高度の光学研究・製品開発を
成し遂げました。


戦後も、西村製作所等の大口径望遠鏡開発を手掛けると共に、
自身の書籍の改版を2度刊行(表題は、反射望遠鏡~)

昭和(高度成長)時代の、望遠鏡・自作ムーブメント
において、多大な貢献をしました。

( 参考 ~弊サイト)
https://hajimechan01.blog.ss-blog.jp/2020-03-01
https://hajimechan01.blog.ss-blog.jp/2020-04-10


戦後(1950年代)

中心は東京に移り、唯一の天文系雑誌「 天文と気象 」の
反射望遠鏡・自作記事の連載も開始し、東京科学博物館(後の国立)
村山定男氏らが、アマチュア望遠鏡・自作ムーブメントを
牽引しました。

また、全国各地で望遠鏡の自作ブームが始まりました。
星野次郎氏が、活躍したのもこの頃です。

1965年には、天文ガイドも創刊
ATMムーブメントは、更に大きくなり・・

黄金の 1970-1980 年代( 天文ビックバン ) に繋がります。


(参考)

○ 中村要 氏 (1904-1932)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%9D%91%E8%A6%81

西村製作所望遠鏡資料とその最古の天体望遠鏡写真帳
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11641095

日本最初の銀メッキ反射望遠鏡と日本の望遠鏡製作
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11641081

中村要鏡とクック25cm屈折望遠鏡
https://double-cluster2018.amebaownd.com/

中村要と反射望遠鏡
https://astrophotoclub.com/nakamurakaname/nakamurakaname.htm

日本天文学会(天文月報)
https://www.asj.or.jp/geppou/contents/
https://www.asj.or.jp/geppou/archive_open/1931/index.htm

東亜天文学会(天界)
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/159113
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/161644/1/tnk000120_216.pdf
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/161697/1/tnk000124_368.pdf
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/161961/1/tnk000133_180.pdf
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/161973/1/tnk000134_231.pdf
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/159252



○ 木邉成麿(宣慈)氏 (1912-1990)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E8%BE%BA%E5%AE%A3%E6%85%88

東亜天文学会(天界)
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/159113
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/162289/1/tnk000140_452.pdf
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/165429/1/tnk000150_365.pdf
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/167719/1/tnk000210_371.pdf

野洲市
https://www.city.yasu.lg.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/70/7383.pdf



続く・・ (`・ω・´)

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http://hajimechan01.secret.jp/hosi.htm
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○ ATM・博物史 ☆1( 山崎氏 ~中村氏+) [天文宇宙・望遠鏡カメラ全般]

atm-2.1.jpg

ATM (Amateur Telescope Making)

~アマチュア天文家による、望遠鏡の自作


一般のアマチュア天文家による、望遠鏡の自作の歴史は
1920年代~、米国とされます ※1

第一次世界大戦後の、空前の景気の波に押され
科学技術が、一般市民にも広く普及した、初めての時代
でもあります。

6~8インチ(15~20cm)前後のニュートン反射を
中心に、様々な望遠鏡の自作が始まりました。


ATMの中でも代表的な、ステラファン天文台の望遠鏡
イベント ※2 

約 100年の、長い歴史となっています。

(参考)
https://www.youtube.com/watch?v=byLGmUbtkWQ
https://www.youtube.com/watch?v=QKkgM9n0REM


yamasaki-telescope550s.jpg


日本においても、1926 年(大正15年)

天文学者・山崎正光氏(1886-1959)の

「 天体望遠鏡の作り方 」が出版され、米国と同レベルの
自作情報が得られるようになりました。


○ 国会図書館・デジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1021368

内容は、

・反射望遠鏡

研磨の概略
フーコーテスト
パラボラ化
平面鏡作成
銀メッキ

・屈折望遠鏡

レンズ設計
研磨の概略
精度テスト
修正研磨

・赤道儀+モーター駆動



100年後の現代に迫る、
驚異のクオリティとなっています。

特に、屈折望遠鏡・レンズ設計の情報は、
現在でも書籍で存在するものはほぼ皆無で、その
先見性は特筆すべきものがあります。


また・・

山崎正光氏、望遠鏡光学の論文等は、先んじて
1921-1922年、天文月報(日本天文学会)で公開されて
います。※3

なお、山崎正光氏の偉業・総覧は、ドームナビ ※4
等にて見る事が出来ます(連載中)


________________________________________________________


1920年代より、国内光学メーカー(ニコン・五藤等)も、
望遠鏡の国内生産に着手、生産を開始しています。※5

庶民的な価格になったのは、1930年代になってからです。


カメラレンズの国内設計・生産等も
小西六(現・ コニカミノルタ + ソニー)※6 において、
1930年代より開始しています。

1935年(昭和10年)頃は、近軸光線追跡+実光線追跡 ※7
の技術を会得して、現代的なレンズ設計の体制を整備
しています。


1930年(昭和5年)前後、京都大学の中村要氏により、
日本国内におけるATM普及が、大いに進捗した時代でした。

京都、東京等、各地で天文同好会・研究会等が設立。
ニュートン反射望遠鏡を中心に、第一次・自作ムーブメント
が興りました。

中村要氏自身は、1926年頃に光学メーカー等に先行して
反射望遠鏡、後に屈折望遠鏡レンズ、カメラレンズの
設計、研磨に成功しています。

(五藤光学、西村製作所の反射ミラー、屈折レンズ等の
製造にも携わっています。)



(参考資料)

※1
ATM~ Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Amateur_telescope_making
https://www.amazon.com/Amateur-Telescope-Making-Vol-1/dp/0943396484

※2
Stellafane
https://stellafane.org/


※3 日本天文学会
https://www.asj.or.jp/geppou/contents/
https://www.asj.or.jp/geppou/archive_open/1921/index.htm
https://www.asj.or.jp/geppou/archive_open/1922/index.htm

※4
星夜の逸品(ドームナビ)
https://www.domenavi.com/ippin/index.html

中村要鏡とクック25cm屈折望遠鏡
https://double-cluster2018.amebaownd.com/posts/6669975

我が国はじめての彗星発見者
http://astrophotoclub.com/yamazaki_masamitu.html

※5
望遠鏡博物館
https://www.telescope-museum.com/wp-content/uploads/2017/02/8
a4b2f58c56a0101e787fcd887d86414.pdf

※6
コニカミノルタ
http://www.konicaminolta.jp/about/research/technology_report/1999/pdf/38.pdf


※7
実光線追跡(例)
http://hajimechan01.livedoor.blog/archives/6752434.html



続く・・ (`・ω・´)

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