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○ アマチュア 天体写真・博物史 ☆7 [天文宇宙・望遠鏡カメラ全般]

○ アマチュア 天体写真・博物史 ☆6
https://hajimechan01.blog.ss-blog.jp/2023-10-15
の続きです。

「 短焦点反射 」☆★ の流行。
その一番最初は、1969年頃から・・

「 短焦点反射+郊外への遠征撮影 」という、
現代アマチュア天体写真家(星野)の原点が始まります。


アマチュア天文愛好者の多くが成人となった、1977年。※1
短焦点反射による、星雲星団・彗星撮像が、メジャー化
を開始します。

当時、短焦点反射の(半)自動ガイドを可能にした
小型赤道儀の開発は、タカハシが一番進んでいました。

TS式 6.5cm屈折赤道儀P型
この名機が、マッチプレート対応になったのは、1977年秋。

翌 1978年には、90S 赤道儀も発売されます。

一般アマチュアは、これら市販赤道儀+自作ミラー鏡筒
(半)自動ガイドで直焦点写真に挑んでいました。


IMGP0104ms.jpg

1977年
雑誌においても、天文ガイド本誌2~4月号

星野次郎氏による、短焦点反射の設計 etc の連載は
多くの新進 ATMer にとって、貴重な情報となりました。

(1977年当時、メーカー製の小口径・短焦点ニュートン
は無く、自作する必要がありました ※2)


短焦点反射の製作、及び直焦点撮像において、
口径・F値 → 視野角、コマ収差+湾曲収差量
極限等級の計算式 +一覧表 etc

貴重なデータが満載で、当時の自作者にとって
本当にすばらしい記事でした。


3ヶ月連続の記事中には、沢山の天体観測所+撮影者の
機材等も紹介されていました。

・星野次郎 氏(29㎝)
・小島信久 氏(31㎝)
・古田俊正 氏(31㎝)
・小石川正弘氏(20㎝)
・土屋清  氏(20㎝)

etc
当時の天文少年にとって、夢のような機材。

ミラーから鏡筒本体、赤道儀、駆動システム etc
大部分が自作でした。


1977年は、コダック103aE 等の天体写真用フィルムが
メジャーになった年でもあり「 相反則不軌 」が流行?
した年でもありました。


※1 (参考)

○ アマチュア天文宇宙界、2030年 問題? ☆1
https://hajimechan01.blog.ss-blog.jp/2023-09-17

※2
小口径・短焦点ニュートン

1978年、ミザールより、10㎝F6モデルが発売。
その後、ビクセン、タカハシ etc が追従しました。



続く・・ (`・ω・´)

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○ アマチュア 天体写真・博物史 ☆6 [天文宇宙・望遠鏡カメラ全般]

○ アマチュア 天体写真・博物史 ☆5
https://hajimechan01.blog.ss-blog.jp/2023-08-11
の続きです。

「 短焦点反射 」☆★ の流行。

その一番最初は、1969年頃から・・
「 短焦点反射+郊外への遠征撮影 」という、
現代アマチュア天体写真家(星野)の原点が始まります。


1970年~1972、古田俊正氏

13㎝(F 5.8)短焦点反射、+冷却カメラで
更に高い解像の星雲星団等の撮像を成功させます。

アマチュア星野写真カテゴリーでは、今まで見た事の無い
ハイ・クオリティでした。最微星は、16等級前後。

当時、30㎝クラス以上の天文台で撮影されていたレベルと、
同等以上の極限等級・解像度を、露光時間10分前後の
撮像で捉えていました。

1972年発行 天文ガイド別冊「 星雲星団 写真集 」
・・は、その集大成的、超クオリティ写真が満載でした。


一方、当時の普通のアマチュア天文少年にとって
1972年時点の、これらハイアマチュアの撮像技術は、
半ば雲の上の存在でした。

一般アマチュアレベルの上限は、200mm前後の
カメラ望遠レンズによるものでした。



IMGP9677ms.jpg

5年後・・

アマチュア天文愛好者の多くが成人した、1977年。※1
短焦点反射による、星雲星団・彗星撮像が、メジャー化
を開始します。

当時、短焦点反射の(半)自動ガイドを可能にした
小型赤道儀の開発は、タカハシが一番進んでいました。

TS式 6.5cm屈折赤道儀P型
この名機が、マッチプレート対応になったのは、1977年秋。


星雲星団写真集は、古田俊正氏の31cm 撮像版、
写真で見る~ シリーズでの刊行を開始。

雑誌においても、天文ガイド本誌2~4月号、
星野次郎氏による、短焦点反射の設計 etc の連載

天文ガイド別冊、「天体写真 NOW 1~2」発売。


また、研磨材料等を扱う、日本特殊光機 etc の会社が
雑紙広告を開始したのも、この頃でした。

反射鏡の自作研磨は、多くが短焦点(F4~6クラス)
となりました。(1970年代前半は、F8~10が標準)

相反則不軌の少ない、コダック103a フィルムも、
取扱い店が増加します。

(古田氏が実用化した冷却カメラは、技術的な困難から、
その後ほとんど普及しませんでした。)


短焦点反射による星野写真。
周辺機器、情報等が急速に増えてきた、1977年でした。


※1 (参考)

○ アマチュア天文宇宙界、2030年 問題? ☆1
https://hajimechan01.blog.ss-blog.jp/2023-09-17



続く・・ (`・ω・´)

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○ アマチュア天文宇宙界、2030年 問題? ☆1 [天文宇宙・望遠鏡カメラ全般]


明日 9月18日は、敬老の日。

日本全体の高齢化が進み・・
各分野で様々な ○○年 問題、が表面化しています。

アマチュア天文宇宙界も例に漏れず、高齢化が進行中。
通称「 天文、2030年 問題 」?

・・が、目の前に迫っています。


1986.06  photocon.jpg

IMGP9560ms.jpg


ハイアマチュア天文家の年齢分布。

詳しいデータは不明ですが、天文雑誌フォトコンの
年齢分布で、概略は把握出来そうです。

天文雑誌が一番売れたとされる、1986年。
(ハレー彗星接近)その年齢分布は、上グラフの通りです。
10~30歳台の若手が、全体の90%以上!

2023年現在は、全体の約10%前後ですから、
完全に年齢層が逆転しています。


既に、多くのハイアマ天文家が現役引退されましたが・・

その引退年齢は、およそ70台半ば前後、即ち後期高齢者
と呼ばれる75歳前後が平均となります。
(健康な方は、80歳過ぎでも現役です)

1986年前後のハイアマの過半数が、後期高齢者75歳
の壁に到達するのが、およそ 2030年。

「 天文、2030年 問題 」☆★ です。


かつて、ハイアマチュア天文家が創り出した分野。

○ 自作・望遠鏡(ミラー・レンズ)
○ 自作・赤道儀システム
○ 自作・特殊観測装置
○ 自作・天文系計算ソフト

○ 理論・観測天文学論
○ 多岐に渡る天体観測(撮像)

etc

・・の多くが、この年代、1955年~の新人類世代 ※1
即ち、モノ作り世代に引き継がれて、僅かに残っていました。
(技術の大元は、更に1~2世代前 ※2)


tenmon-ucyu.jpg

(参考) 消えゆくアマチュア天文家 ☆1
https://hajimechan01.blog.ss-blog.jp/2022-04-10


しかし、それらの貴重な技術の伝承は、遅々として進まず・・
即ち、モノに対する根本理解等、断絶の危機となりました。

後に残された世代は、完成品を操作するモニター状態。
研究・創造は苦手。マニュアル操作の理解のみ。

モノ作り世代の消滅は・・
即ち、新しいモノは何も作れないという事であり、
停滞&衰退を横目で眺めるだけとなる事でしょう。


様々な技術の継承等、即ち

・ハード、ソフトの保存体制
・技術の直接伝承体制
・新しい人材発屈
etc 

残された時間は、あまり有りません。


※1

新人類世代
1955~1965年前後生まれ ≒ X世代
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E4%BA%BA%E9%A1%9E

※2

現代ハイアマに通じる技術の大元は、2~3世代前。
即ち、1910年~生まれの天文家、星野次郎氏
等、伝説のハイアマチュア天文家らによるものです。

(参考)
○ ATM・博物史 ☆4 ( 星野氏+)
https://hajimechan01.blog.ss-blog.jp/2022-07-02


(その他・参考)
○ アストロアーツ・アンケート
https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/9694_stlshot
○ 望遠鏡博物館
https://www.telescope-museum.com/


続く・・ (`・ω・´)

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○ アマチュア 天体写真・博物史 ☆5 [天文宇宙・望遠鏡カメラ全般]

○ アマチュア 天体写真・博物史 ☆4
https://hajimechan01.blog.ss-blog.jp/2023-07-21
の続きです。

「 短焦点反射 」☆★ の流行。

その一番最初は、1969年頃から・・
「 短焦点反射+郊外への遠征撮影 」という、
現代アマチュア天体写真家(星野)の原点が始まります。


1970年~、古田俊正氏の活躍もパワーUP

13㎝(F 5.8)短焦点反射、+冷却カメラで
更に高い解像の星雲星団の撮像を成功させます。

アマチュア星野写真カテゴリーでは、今まで見た事の無い
クオリティでした。最微星は、16等級前後。

当時、30㎝クラス以上の天文台で撮影されていたレベルと、
同等以上の極限等級・解像度を、露光時間10分前後の
撮像で捉えていました。


IMGP9448ms.jpg


1971年夏、藤井旭氏著作「 星雲星団 ガイドブック 」

大口径望遠鏡等でしか見たことのない、銀河画像 etc ※1 
短焦点反射、+冷却カメラ、による衝撃的な画像は
当時の天文少年には、刺激的過ぎるクオリティでした。


また同時期の、ハイアマチュアによる作例は
熊本の宮本幸男氏等がいました。

星雲星団 ガイドブックに、15cmニュートン+非冷却カメラ
による作例が掲載されています。

宮本幸男氏は、1972年頃から、12cmライト・シュミット
の製作にも取り掛かかっています。※2



一方、当時の普通のアマチュア天文少年にとって
これらのハイアマチュア先端撮像技術は、半ば雲の上の
存在でした。

一般レベルの上限は、200mmカメラ望遠レンズ前後
のものでした。

また、市販のニュートン反射望遠鏡は、F10が標準で
あった為に、短焦点反射鏡の自作研磨ブームが興ります。


※1
(例) NGC-4565、中心の暗黒帯等のシャープな写真(197p)等
当時、かなりの衝撃を与えた1枚です。


IMGP9473ms.jpg


※2
〇 宮本幸男 氏・望遠鏡遺産 (ライトシュミット) ☆1
https://hajimechan01.blog.ss-blog.jp/2022-12-02


続く・・ (`・ω・´)

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○ アマチュア 天体写真・博物史 ☆4 [天文宇宙・望遠鏡カメラ全般]

○ アマチュア 天体写真・博物史 ☆3
https://hajimechan01.blog.ss-blog.jp/2023-06-25
の続きです。

1965-1969 → 第1次・天体写真ブーム

1965年(昭和40年)
天文ガイド創刊+イケヤ・セキ彗星の出現。

35mmカメラ使用のアマチュア天体写真が、
急速に普及を始めます。

しかし、1965年時点における星野写真は、
簡素な固定写真(標準&広角レンズ)が大半で、
ガイド撮影は、ごく僅かなハイ・アマチュア天文家
による秘伝的?な技術でした。

1966~1967年においても、標準&広角レンズの固定
+手動ガイドが大半で、望遠レンズを使用した
星野写真の普及は、1968年頃迄待つ事となります。


1968年
天文ガイド別冊・望遠レンズによる星野写真集

藤井旭氏の実質的な書籍デビューであり、
200mm望遠レンズ等を使用した日本国内初?の
ハイ・アマチュアによる星野写真集 ※1 
となりました。


IMGP9428ms.jpg


1969年~、古田俊正氏の活躍も始まります。

「 短焦点反射+郊外への遠征撮影 」という、
現代アマチュア天体写真家(星野)の原点が始まります。

短焦点反射、冷却カメラ etc

新たなトレンド用語として、後の爆発的なブームとなる
これらのキーワードは、天文ガイド1969年2月号が
火付けだと思われます。

1969年前後は、12㎝(F 4.2)の短焦点ニュートン反射
を使用、20~30分露出で、多くの星雲星団の撮像を
成功させました。

それ以降は、13㎝(F 5.8)+冷却カメラで
更に高い解像の星雲星団の撮像を成功させ・・
1972年、初の書籍「 星雲星団写真集 」
の刊行となります。

「 短焦点反射 」 ☆★

・・の爆発的なブームが起こります。


※1

1968年当時は、乾電池等使用の小型モータードライブ
は市販されておらず「 手動ガイド 」がほぼ唯一の、
望遠領域の遠征・星野撮影の手法でした。

200mmレンズで、ニコン8cm赤道儀を使用した、高い精度の
手動ガイドを行なった新鋭の天体写真家「 藤井旭 」氏
の名は、ここから一躍有名になります。


1971年刊行、星雲星団ガイドブックにおいては、
藤井旭氏撮影(200mm望遠レンズetc)

古田俊正氏撮影(13㎝(F 5.8)+冷却カメラ)による、
当時の最高解像レベルの星野写真。

・・等が多数掲載されています。貴重な資料です。


なお、短焦点反射の(半)自動ガイドを可能にした
小型赤道儀の開発は、タカハシが一番進んでいました。

TS式 6.5cm屈折赤道儀P型  ☆★

1972年末に発売開始、極軸望遠鏡+小型モータードライブ
当時の大ベストセラーでした。

(モーターのみは、ミザール製が安価で高性能でした)


続く・・ (`・ω・´)

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○ アマチュア 天体写真・博物史 ☆3 [天文宇宙・望遠鏡カメラ全般]

○ アマチュア 天体写真・博物史 ☆2
https://hajimechan01.blog.ss-blog.jp/2023-03-10
・・の続きです。

アマチュア天体趣味等において、天体写真は必要不可欠な
分野ですが、その歴史を探ると、約 90年程前に遡ります。
(1930年代)

戦後復興は、およそ1960年代~

戦後の高度成長が加速してきた頃
アマチュア天体写真も、急速に増えました。


■ 戦後・アマチュア天体写真の歴史

(昭和・概略区分)

1960-1964 → 黎明期、星野次郎氏等 ※1 活躍。白黒乾板中心。
1965-1969 → 第1次・天体写真ブーム、天文ガイド創刊。35mmカメラ。
1970-1974 → 第2次・天体写真ブーム、藤井旭氏、古田俊正氏の活躍。
1975-1984 → 撮像用望遠鏡&カメラレンズ進化、フィルム進化。
1985-1989 → 天体写真ビックバン、フィルム&望遠鏡革命 etc。  ☆★


(平成以降・概略区分)

1990-1999 → フィルム (銀塩) 全盛期、デジタル黎明期。
2000-2014 → CCD&CMOS、デジタルカメラ&画像処理進化。
2015~  → デジタル写真ビックバン、CMOS カメラ進化 etc。


バブル経済のピークだった、1989年前後、
天体写真マニアの人数も、空前のピークを迎えました。

即ち、フィルム (銀塩) 全盛期 ☆ でもありました。

水素増感 2415
高感度カラーフィルム( 1600)
ラージフォーマット( 6x7.etc)

更には、シュミット、ライト・シュミット、イプシロン、
蛍石アポクロマート etc の高性能鏡筒
タカハシ、ペンタックスの中大型赤道儀。

・・これらの登場で、クオリティの高い天体写真 ※2
が沢山生まれました。


「 天体写真論 」的な論議も、様々に行なわれました。

天文ガイド、スカイウォッチャー(星ナビ) etc においても、
最先端の情報、天体写真論 etc で、大いに賑わいました。


IMGP9411ms.jpg


天文ガイドで連載されていた、Aspect in 読者の天体写真

富田弘一郎氏+天文ガイド編集スタッフ(Ta.Yo.Gon. etc)
による、様々な天体写真技術、機材論、写真論 etc が
飛び交い、極めてリアリティの高い劇場?となっていました。

1989年前後の最先端技術は・・

微粒子カラーフィルムの水素増感
小惑星捜索における、効率的な撮像システム 
etc

当時、世界最先端の日本・アマチュア天文界を
俯瞰するような内容でした。


なお、デジタル化の波は、1990年以降となります。
(プロの天文台では、1980年代から導入) ※3


※1

1965年、天文ガイド創設においても、
星野次郎氏が大きく関わった模様です。

熊本県民天文台・会報(1997.10)において・・

アマチュアを代表する、望遠鏡・研究家の宮本幸男氏(熊本)が、
星野氏の福岡の自宅を訪ねた際に、天文ガイドの初代編集長から、
天文ファンを増やす為に、35mmカメラによる天体写真
の普及に携わった等のエピソードが残されています。

○ 熊本県民天文台 ( 1997.10 )
http://www.kcao.jp/hosikuzu/hosikuzu.html

※2

バブルの頃迄は、画像処理も少なく、
記録価値の高い観測・天体写真も多く生まれました。

それ以降は、情報が毀損されたモノが大半で、
取扱いに注意が必要です。

※3

デジタル写真黎明期においては、
天文ガイド・INTERACTIVE の記事が詳細でした。


続く・・ (`・ω・´)

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○ アマチュア 天体写真・博物史 ☆2 [天文宇宙・望遠鏡カメラ全般]

○ アマチュア 天体写真・博物史 ☆1
https://hajimechan01.blog.ss-blog.jp/2023-02-24
・・の続きです。

戦後、1955年(昭和30年)頃から高度成長時代が始まり、
一般アマチュア用のカメラ本体、レンズ、フィルム等の整備も
進みました。

特に、1964年の東京五輪前後は、空前の進化を遂げています。


35mm1眼レフ本体
国産初は、PENTAX(旭光学)

1957年(昭和32年)に発売後、爆発的に売れ、
後に、ニコン・キャノン等の大手メーカーも追従しました ※1

(備考)
https://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/pentax/pentaxhistory/course/

望遠レンズも、1960年(昭和35年)頃迄に、100~500mm クラス
が揃いました。特に、タクマー 200mm(F 3.5)は、
その性能が好評でした。

ペンタックスのレンズは、1960年代に蛍石(フローライト)
を開発するなど、世界トップの性能でした。


IMGP9145s.jpg

(オート・タクマー 105mm F2.8)

100mm クラスは、F 2.8 クラスが多く、
手動ガイド+固定撮影でも、威力を発揮していました。


また・・
高感度フィルム、カラーフィルム等の開発も、富士フィルム等
において、1960年(昭和35年)頃迄に整備されました。

ネオパンSSS、及びカラーポジ R-100 etc

(備考)
https://www.fujifilm.co.jp/corporate/aboutus/history/ayumi/dai2-02.html

1ドル360円時代、米コダックのフィルム等は高価でした。
トライXも、既に登場していました。


1960年代前半(1960-1964)

35mm1眼レフの進化で、一般アマチュア写真は急激な広がりを
見せましたが、アマチュア天体写真分野の趣味人口は未だ少なく
文献(写真)として残っているのは、千葉の瀧田氏等、
ほんの僅かです。

1960年代前半において、特殊乾板等をも使いこなした、
福岡のハイ・アマチュア、星野次郎氏の活躍は突出していました。

1965年、天文ガイド創刊+イケヤ・セキ彗星で、
35mmカメラ使用のアマチュア天体写真は、
急激に普及を開始します。


※1

現在、大手カメラメーカーのニコン・キャノン等

1眼レフカメラ、レンズ等の開発は、先行のぺンタックス
から数年遅れでした。

1970年代以降は、大手メーカーの資本力が
大きな進化を与えていました。


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○ アマチュア 天体写真・博物史 ☆1 [天文宇宙・望遠鏡カメラ全般]

amaten.jpg


アマチュア天体趣味等において、天体写真は必要不可欠な
分野ですが、その歴史を探ると、約 90年程前に遡ります。

昭和初期、1930 年代
日本国内初、アマチュア天体写真ムーブメント。
中心となったのは、京都大学・花山天文台、中村要氏でした。

反射望遠鏡
屈折望遠鏡
写真レンズ
天体写真

4つ全てにおいて、当時の最高レベルの作品を創り、
その技術は、後のハイ・アマチュア達に伝承されました。


〇 中村要・天体写真術(1932) 国立図書館
https://dl.ndl.go.jp/pid/1212730

高感度の写真乾板+ガイド撮影 etc
現代に通用する、高度な天体写真撮影の体系でした。


その後、30年弱、アマチュア天体写真ムーブメントは
ほぼ消滅してしまいました。

中村要氏の逝去後、太平洋戦争+戦後の混乱の影響が、
極めて大きかった様子です。


IMGP9046ms.jpg


アマチュア天体写真界の復興は、およそ1960年代 ※1

戦後の高度成長が加速してきた頃
アマチュア天体写真も、急速に増えました。

戦後1950年代迄は、彗星捜索家・本田実氏 etc
数少ない人のみ知る事の出来る、特別な世界でした。

関勉氏・彗星ガイドブック等に、その戦後の黎明期
の様子が記述されています。


1960年代前半、福岡の星野次郎氏 ※2 
らの作品が残されています。

戦後初の天体写真ブームとなったのは、1965年
天文ガイド創刊+イケヤ・セキ彗星の出現でした。

続く・・ (`・ω・´)


※1

戦後・アマチュア天体写真の歴史
概略区分

1960-1964 → 黎明期、星野次郎氏等の活躍。白黒乾板中心。
1965-1969 → 第1次・天体写真ブーム、天文ガイド創刊。35mmカメラ。
1970-1974 → 第2次・天体写真ブーム、藤井旭氏登場。カラー撮像。
1975-1983 → 撮像用望遠鏡&カメラレンズ進化、フィルム進化。
1984-1989 → 天体写真ビックバン、フィルム&望遠鏡革命 etc。


※2

1965年、天文ガイド創設においても、星野氏が大きく関わった
模様です。

熊本県民天文台・会報(1997.10)において・・

アマチュアを代表する、望遠鏡・研究家の宮本幸男氏(熊本)が、
星野氏の福岡の自宅を訪ねた際に、天文ガイドの初代編集長から、
天文ファンを増やす為に、35mmカメラによる天体写真
の普及に携わった等のエピソードが残されています。

○ 熊本県民天文台 ( 1997.10 )
http://www.kcao.jp/hosikuzu/hosikuzu.html



☆ 星の便利帳
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〇 宮本幸男 氏・望遠鏡遺産 (ライトシュミット) ☆1 [天文宇宙・望遠鏡カメラ全般]

宮本幸男 氏 (1921-2015)

1970年代、天文・宇宙ブーム、自作望遠鏡ブームが
華やかだった頃、九州・熊本のハイアマチュア(ATM作家)
として、全国的に有名でした。

短焦点反射(ニュートン)が、数多く自作された時代・・

宮本氏が自作された、125/ 540mm ライトシュミット望遠鏡は
その完成度の高さから、天文雑誌等に数多く紹介され、
撮影された数々の対象は、フォトコンを賑わせました。


2022.11 現在、清和高原天文台に展示されています。

○ 清和高原・天文台
http://astroseiwa.com/stay


IMGP8560ms.jpg


ライトシュミット望遠鏡
ニュートン反射との違いは、広視野の実効イメージサークル。

F4クラスのニュートン反射の場合、コマ収差の増大で、
撮像素子(フィルム)上で、およそ10mm 程度。

当時の35mmフルサイズ、中心付近の僅かの部分しか使えない
状態でした ※1

宮本氏のライトシュミット望遠鏡は、35mmフルサイズの
ほぼ全面に渡る、ピンポイントの像質でした。


木製の鏡筒(サイズ、約 750 x200x200 mm)には、
精密な接眼部が取り付けられています。

通常の光軸、および精密なスケアリング調整がされた様子です。
(ファインダーは、タカハシの25mm? です。)


IMGP8569ms.jpg


ライトシュミット望遠鏡、
一番の難易度は、そのシュミット補正板の自作でした。

高次非球面(4次近似)の設計は、極めて複雑でしたが、
宮本氏は独自に手計算!され、更に補正板、主鏡、共に自作研磨、
光軸調整迄、独自でシステムを完成されました。

清和高原天文台には、その研究・計算ノートも展示されています。

ライトシュミット望遠鏡を独自で完成されたハイアマチュアは
全国でも数える程しか居ないほど、困難なものでした。

各望遠鏡メーカーも、その大半が開発を断念しています。


反射系・写真鏡筒(アストロカメラ)の開発において・・

タカハシの光学設計者、秦氏は3日程、熊本に滞在し、
宮本氏から、シュミットカメラの設計情報等を得たとの事です。

1980年代初頭の出来事です。※2


※1
純・ニュートン反射のコマ収差補正の研究が進んだのは、
およそ1990年代以降からです。

2000年代~、各社から、高性能フラットナー等が発売されます。

2022年現在では、高解像・小サイズCMOSも普及し、純ニュートン
+補正レンズが、星雲星団・彗星等の撮像において、再び
メインストリームになりつつあります。

放物面鏡よりも、計算された双曲面鏡の方が、コマ収差等の補正
において、有利となります(タカハシ・イプシロンε 等)


なお学術レベルにおいて、コマ収差補正レンズの論文は、
約 100年前まで遡れます。

詳細は、吉田正太郎氏の著作等に記載されています。


※2
1980年代初頭
フローライトF8シリーズの発売後、明るい反射系アストロカメラ
の開発に取り組んだ、タカハシ秦氏。

先ずは、性能評価の定着しているシュミットカメラを作るという
手段があるのではないか?、という事で、シュミット光学系への
方向転換を図ったとの事。

その後開発調査のため、シュミットの研究で知られ、豊富な理論と
経験を持つ、熊本の宮本氏に会った事が記されています。

○ 星宴・2019-SP2、九州とタカハシの深い関係?
https://hajimechan01.blog.ss-blog.jp/2019-11-03


(参考文献)

○ 反射望遠鏡光学(吉田正太郎氏)
https://www.seibundo-shinkosha.net/book/astronomy/65677/

○ 熊本県民天文台 ( 1997.10 etc )
http://www.kcao.jp/hosikuzu/hosikuzu.html

○ すたくま氏、動画 etc
https://twitter.com/StarofKuma1/status/1530582523519983616
https://www.youtube.com/watch?v=Npeeqoo4heg&feature=youtu.be



続く・・ (`・ω・´)  

☆ 星の便利帳
http://hajimechan01.secret.jp/hosi.htm
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○ ATM・博物史 ☆6 ( 現代作家 etc ) [天文宇宙・望遠鏡カメラ全般]

○ ATM・博物史 ☆5( 日本特殊光機 etc )
https://hajimechan01.blog.ss-blog.jp/2022-08-13

・・の続きです。

平成時代以降の日本は、未曾有の経済衰退期に入り
科学技術大国から、観光立国に転落するに至りました。

ATM ~自作望遠鏡への熱意も、かなり衰退しました。

しかしながら、少数のベテラン+気鋭の新進作家。
そして、若い学生達も僅かながら、取り組んでいます。

ネット上( youtube etc )でも、その活躍を見る事が出来ます。


IMGP3732m.jpg


令和時代。
ベテラン・ATM 作家の筆頭

〇 wata 氏
https://www.youtube.com/user/wata4888645/videos
https://www.youtube.com/watch?v=-1FumJ322-I

光学系+駆動系(赤道儀)+ 電子回路。
更には、アルミメッキ蒸着装置、自動検査装置(AFT) etc

望遠鏡に関わる、全てを手掛けるスーパー作家です。
40cm カセグレンの超精密な造りは、圧観です。

(参考サイト)
https://wata4888645.hatenablog.com/


気鋭の新進作家
〇 okita 氏
https://www.youtube.com/watch?v=XDw1h7_TLZQ&t=14s

60cm 大口径ドブソニアンのスーパー運用
15cm 鏡面から自作したBASIC なニュートン反射望遠鏡 etc

光学全般、周辺機器等の、ハイレベルな研究・自作等も必見です。

(参考サイト)
https://okita-tenmon.com/index.html
http://blog.livedoor.jp/okita_tenmon/
https://twitter.com/hirofumi_okita



〇 沢山の個性的なベテラン・ATM 作家達
https://www.youtube.com/watch?v=ajDaaHnxa48
https://www.youtube.com/watch?v=g5KG8Sf33No

光学系からの自作は少ないものの、
それぞれに工夫された、多数の自作望遠鏡の運用は、
とても楽しそうです。

周辺光学系(アイピース、レデューサ etc )の工夫等も
多く、見所いっぱいです。

(参考サイト) 
〇 civet 氏
http://uwakinabokura.livedoor.blog/
https://twitter.com/PACIFICA612


気になる、若い学生ATM作家がいっぱい?

〇 中部大学天文台
https://twitter.com/chubu_tenmon

・・密かに注目です。


(others)
〇 めいせい望遠鏡
https://www.youtube.com/watch?v=ckCwd0YpsdU

日本国内・最大口径( 3.8m )望遠鏡。
何故か、ATMっぽい感があります。

素敵な大望遠鏡です。



続く・・ (`・ω・´)

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