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○ 天文ガイド5月号 ~ 屈折望遠鏡論(タカハシ) [望遠鏡・レンズ設計研磨]

IMGP4231s.jpg


天文ガイド・2020年5月号

タカハシFC-100。DZ
本編8ページ、別掲1ページ、合計9ページ、総力特集の感です。

基本モデルは、1981年3月頃から展開されており、蛍石が後面の
スタインハイル式・2枚玉アポクロマートです。100/800mm (F 8.0)



恐らく世界初の「 フォト・ビジュアル望遠 」のコンセプトで設計された
蛍石アポクロマート。FC-100

1981年4月号広告でのコピー
「1台の望遠鏡が2台の望遠鏡、2本の超望遠写真レンズに」
のコンセプトでの設計です。

(備考) 屈・折・革・命
http://www002.upp.so-net.ne.jp/bob-k/hosi2.5i.htm



最終モデル?とされる、最新DZは、初期型と比較して、球面収差が
より高度に補正されています。また、レデューサは4枚構成、0.66倍
スポットダイアグラムは、35フル周辺でも、小さく集光しています。

・高倍率眼視(ビジュアル)+ 高倍率撮影(フォト)
・レデューサ装着で、より明るい短焦点での撮影(フォト)

のコンセプトの満たす設計です。

星野撮影においては、大サイズの作例写真が掲載されており、
写真極限等級は、19等級後半とのこと。(総露出時間、48分)



2枚玉で、従来の3枚玉レベルの球面収差補正 ※ の理由は、
蛍石の相手玉に、高屈折ガラスを採用している事です。

通常ガラスと比較して、より高度な収差補正が期待出来ます。

補正レンズも同様で、高屈折ガラス使用で、優れた性能です。
(ガラスの種類によっては、価格変動リスクもあります。)



タカハシ FC-100 DZ
2019年10月に、デモ鏡筒の実視テストをする機会に恵まれました。

15cmバトル会場?のすぐ傍にて・・
300倍バトルで、かなりの高クオリティの結像を出しました。

詳細は、以下のページにて

○ 九州大観望会 ☆ 4 (タカハシ特集 etc)
https://hajimechan01.blog.ss-blog.jp/2019-10-12


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2枚玉で、従来の3枚玉レベルの球面収差補正 ※

100/800mm (F 8.0) スペックで、CdeF 4線において、TOA-130 並みの
集光性能を出す事が出来ます。眼視においては、充分な性能です。

星野撮影等の場合は、g線(紫)ハロも、2枚玉フラットナー使用で、
ほぼ完全な収差補正が出来ます。

(備考)10cm ・ 2枚玉 アポクロマート 設計
http://www002.upp.so-net.ne.jp/bob-k/hosi1.4x4.htm


fa100-toa130.jpg


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~屈折望遠鏡論

米オライオン etc、高性能・大口径反射が比較的安価で入手出来る現在でも、
アポクロマート屈折望遠鏡の需要は旺盛です。

屈折レンズの長所である、小型軽量、高い拡張度、質感 etc
が、とても際立ちます。



少々、レンズ設計サイトを公開している関係で、様々な屈折鏡筒ユーザーの
生の声が届きます。

多くの屈折望遠鏡ユーザー(マニア)が、タカハシ TOA-130 等を所有して
いるにも関わらず、やや小口径・軽量のアポクロマート屈折鏡筒を所望して
いる例が、意外にも多い事が判りました。

TOA、光学性能は良好ですが、極めて重量があり移動運用は厳しいです。

(気流の影響を受けやすい、温度順応時間が長い等の欠点も多い)



軽量タイプ「 眼視用高性能機 」

10~12cmクラスの軽量・眼視用鏡筒(2枚玉)
2枚玉で、充分に高性能な新鏡筒が、望まれています。

また、製造メーカーにとっても、調整コストが安く(歩留まりが高く)
品質管理が比較的楽な、2枚玉の方が望まれている様子です。

(販売単価、利益はやや安くなりますが・・)



望遠鏡の性能(中心分解能・解像力)は、ストレールレシオで明示出来ます。

3枚玉の場合、製品の実測値が、設計値から大きく乖離するリスクも高いです。
10cmF8クラスの場合、2枚玉と3枚玉のストレールレシオ差は5%程度。

研磨精度、組立調整如何で、逆転する事も少なくありません。



写真鏡と呼ばれる、より短焦点なアポクロマートの需要は、相変わらず高いです。
(ポータブル架台も同様です)

しかしながら、近年多くなった、M43(マイクロフォーサーズ、約 17x13mm )
CMOS素子対応の、Fがより明るくシャープな鏡筒は、それ程多くありません。

今後は、高性能スモールフォーマット対応鏡筒の充実が期待されます。



短焦点・アポクロマート望遠鏡が誕生したのが、1976年(五藤光学)
以後、40年強の系譜は、やや迷走してきた感はあります。

鏡筒のラインナップも、もう少しシンプルなのが良さそうです。
或いは、システム概念の進化。

次世代型の高性能アポクロマート(フォト・ビジュアル)の登場が
期待されます。



続く・・ (`・ω・´)

☆ 星の便利帳
http://www002.upp.so-net.ne.jp/bob-k/hosi.htm

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